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小さいおうち
ちょこちょこ本も読んでいるし、映画も観ているけれど、最近あまり感想を記さなくなっていた。

小さいおうちは原作が大好きだったので、映画も絶対!と思って封切り直後に映画館へ!

特別によい作品であることを期待したわけではない。ただ、予告でみた松たか子の憂いある表情と、愛らしい黒木華の女中姿が観たかったのだ。

そういう意味で満喫できた作品だった。
松たか子の時子奥様は昭和らしいおっとりした雰囲気、ゆるやかなマルセルウェーブに堅気の若奥様らしい和服、黒木華の女中タキちゃんはごわごわした木綿の上っ張りが身体の一部のように馴染んでいる様子や赤いほっぺ、自然な素朴さが心に残った。
ふたりの関係の絶妙さは今の時代にあって、さぞ演じるのが難しかったのではないか。
奥様と女中は主従関係だ。そこはきちんと一線ひかれている。
仲良しではない、でもほんの少しだけただの奥様と女中よりは相手を親しく感じている、そのニュアンスがきちんと出ている。
原作を読んだとき、老境のタキが「奥様は私のことを、タキや、とか、おタキ、なんて呼んだりはなさらなかった。いつもタキちゃんと呼んでくださった」とあったのが非常に印象的で、この作品の一番大切なポイントは、その辺りの関係性なのだと思っていた。

旦那様を演じている片岡孝太郎もとてもいい。先入観かしら、梨園のひとは和服がこなれている。そして台詞の間合いが絶妙。
声もいいんだな。スクリーンに表れると不思議とほっとする。松たか子との並びもいい感じ。
彼の舞台を観たばかりのせいかしら、でも、孝太郎は所謂「イイオトコ」ではないけれど、イイヤクシャなことは間違いない。

そして、中嶋朋子の、時子と親友の睦子もほんの一場面の登場ながらとても印象的。

だからあのラストは惜しまれる。
私はあの映画の「秘められた恋愛」は、時子奥様と板倉さんのことだけではないと思っている。その奥に更に秘められた恋がある。だからああいう、感動をおしつけるようなステレオタイプな結末は残念に思う。
山田洋次はおじいさんだから、女のひとの複雑で大切な心の綾がわからないのかなあ、なんて思ってみたり。

でもとてもいい映画。もし、機会があったら是非。
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パリの恋人
評価:
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Polygram Records
¥ 5,696
(1996-04-23)

初めて買ったCDはこれでした。正確にいうと映画のサウンドトラックCDを初めて買ったのがこれ。

オードリー・ヘプバーンを物凄く好きかと言われたら、そういうわけではないけれど主演映画は好きな作品が多いのも事実。
殊にこれは小さい頃から大好きなフレッド・アステアとの共演、リチャード・アヴェドンの写真、ジョージ・ガーシュウィンの音楽、スタンリー・ドーネン監督、ファッションはドレスドクターのイディス・ヘッドという最強チームの作品。

もちろんリアルタイムで観られたわけではないので、TVやDVDなどでしか観ていないけれど、数えきれないくらい観ている。
今はもうない横浜元町にあったタワーレコードで買いました。

どの曲も大好きで、ヘプバーンは必ずしも美声ではなくて、例えば『マイフェアレディ』は吹き替えだったりするけれど、でもハスキーな素人っぽい声は魅力的です。
『ティファニーで朝食を』で歌うMOON RIVERもギターを爪弾き乍らの少したどたどしいような歌が、むしろ、ぐっときます。

ファッションは言うまでもなくどれも素晴らしいけれど、個人的にはケイ・トンプソンが着ているコートがとてもお洒落で好き。大学生の頃にYouji Yamamotoでそっくりなコートを見付け、清水の舞台から飛び降りるつもりで買いました。今もあのお値段だったらちょっと手が出ないなああ(笑)。
本に囲まれて垢抜けない姿のヘプバーンも大変可愛いの。垢抜けないって、それは飽くまでもヘプバーン比ね、充分に洗練されているってば。ふふふ。

YouTubeにもたくさん映像があるので是非観てみてくださいね。

 
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THE HELP とマリリン
先日の日記でもぼやいた通り、著しく語彙が減ってとても感想などおこがましくて書けたものじゃなくカテゴライズもできないが、ちょびっとだけ。
暫く前、1日に立て続けに2本観た。
待っていた仕事が届かなくて、苛々しながら待つくらいなら映画観に行っちゃう!てな勢いで。
映画は2時間程度だから2本立てなんか軽いわよー、とばかりでバッチリだった。

”THE HELP” 、確かに素晴らしかった。
思想的な観点というよりは、どんなふうに黒人差別がひとの心に沁み込んでいるのかがリアルに感じられて、残虐なシーンなどないだけに背筋が冷たくなるような。
オスカー受賞のオクタヴィア・スペンサーももちろん、ヴィオラ・デイヴィスほか黒人メイド役の女優さんたち、乾いた空虚感を漂わせて迫力があった。

”マリリン”がねぇぇ、もう泣けるくらいキラキラ切なくて、素敵で。
マリリン・モンローを演じる俳優の宿命として、まずは『似ているか否か、またはどのくらい本物そっくり』なのか、というところから必ず論じられてしまう。
ミシェル・ウィリアムズは確かに似ているし、あの、ふわぁぁっとはかなくて頼りなさげな表情なんて、よくぞここまで、と思うが、観ているうちにどんどんそんなこと関係なってゆく力がある。
『前以て似せる』から始めるハードルの高い役をこんなに魅力的に見せるなんて、女優さんて凄いわ。
彼女の7日だけ恋をする青年にエディ・レッドメイン。私このひと好きなんです。
以前、マット・デイモンのCIA物”グッド・シェパード”で彼の息子をやっていたし、確かエリザベスにも出ていたと思う。
取りたてたハンサムさんでなくても、英国人らしいムードが全身に漂ってサマになる。
今回の役も、育ちの良さが放つ嫌味のないピュアな空気、はにかみと若さゆえのイケイケさを絶妙に演じていた。
ケネス・ブラナー、ジュディ・デンチも、あ、そうそう、エマ・ワトソンちゃんも初々しくて良かったし、英国の映画はしっくり落ち着いていていいわぁぁ。


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悪人
映画”悪人”を昨夜TVで観た。
やっぱり映画館で観たかったなぁ。
終始一貫、救いがなくて辛い内容。孤独で愚かで空しくて浅はかで傲慢、それでいて哀しく、愛しく、移ろいやすい、人間のすべてが詰まっている。

深津絵里、すごくよかった。彼女の体温まで伝わってくるような感じがした。
コメディエンヌとしての彼女は既に評価されているけど、こうしたシリアスな役も見たい。モントリオール映画祭のときの彼女、シックで素敵。
そして妻夫木聡も目がよかったと感心。冷め切った目つきや、卑屈な光りかたをする目がすごくいい。ぶきちゃんも愈々30歳なわけで、ただの可愛いあんちゃんだったのがこれは案外化けるかもよ、なーんていう思いが確信に変わりつつあるのだ。
満島ひかりの、あのおバカさん加減とか、もしかして今時は珍しくもない薄っぺらさも見どころであります。
そして、どんなバカな娘でも惨たらしく殺されていい筈はなく、当然のことだがバカ娘でも親にとってはかけがえのない存在だとの思いが痛い程伝わる柄本明の演技もいい。
樹木希林の、ただのおばあさんは凄みがあった。まさに、普通のおばあさん、ただ孫を思うだけだが、蒙昧な愛とも違う、善悪は弁えている、うろたえながらも何かを確信している、そんな感じ。

あまりにも救いがなくて、感動とも呼べない涙を落してしまった。
だけど汚らしさはないの、情けなくて切ないのに何かが透き通っているのは主役ふたりの持ち味かもしれない。

映画はハッピーエンドじゃなくちゃね、というのが信条の私だが、この映画はよかったです。 
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セカンドバージン
NHKドラマの映画化、というかストーリー焼き直しではなくて、ある部分を取り出して詳細に作り込んだもの、というべきか。

ドラマはそう熱心に見ていたわけでもなくて、後半は実は見ていなかったりする。

ネタばれは避けるが、鈴木京香演じる離婚歴あり独身のバリバリキャリア女性が、長谷川博巳演じる17歳年下の、カリスマ金融アナリスト既婚男性と恋に落ちた顛末を描いている。

最近の風潮として、幾つになっても女性は綺麗で恋ができる、という幻想があたかも現実のように語られるけれど、やはり巧妙に仕組まれた幻想(妄想)である。
それはね、鈴木京香のように美しく賢い女性だけに許された特権、そしてそれを享受するのも、長谷川博巳みたいに清潔で向こう見ずな若い青年にのみ許される。

すったもんだあって、長谷川博巳はチャイナマフィアに殺されるのだが、撃たれてから死ぬまでの数日に焦点を当てて描いているのは悪くないかもしれない。
正直、何となく観に行ってしまったため、きれいな長谷川くんは延々と顔半分包帯だし、京香さんもエスニックテイストな衣装で看病ばっかりだし、かなりがっかり。

だがしかし、帰宅してからなんとなーくジワジワ来出した。
なんというのかなぁ、ハタからみれば愚かしい色恋を、こうして美しい蜜月として描けているだけで上出来なのじゃないかと。
むかーし、ありませんでしたっけ?「愛とは決して後悔しないこと」というフレーズ。まさにあれですな。
それと、ラブシーンが下品じゃないのは出色ではないかと。

鈴木京香についてだが、確かに「劣化した」みたいなことを言う輩はいる。
だけど、それは結局、男女問わず日本人特有の「女は若いほどいい」「女の価値は若さだ」という考え方からくる見方だと思う。
実際確かに、頬のラインにかすかに感じる曖昧さやアップになったときに眉間にみえる皺は、加齢を感じさせる。だけど、それを補って余りある年齢相応の美しさだと思う。
ホーレイ線皆無のパツッパツの顔ばっかりに見飽きているせいか、余計にそう思う。

40代半ばで堂々の恋愛映画、フランスやイタリアみたいではありませんか(この映画で出来が良いという意味ではない)。
是非、京香さんには頑張っていただきたいっ。
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阪急電車 片道15分の奇跡
原作を読んでいるときに映画化を知り、絶対に観に行こうと決めていた。

昨日は待っていたデータが届かず、それがこないと動くことも出来ず、何だかどんよりしてしまっていたので思い切ってお昼間から映画館へ。
”ブラック・スワン”とどちらにしたものか迷いつつ、やっぱり”阪急電車”だなぁ、と決定。

阪急電車には宝塚歌劇を観るために何度も乗ったことがある。
チョコレートカラーのクラシックなムード、乗客はどことなくおっとりした感じで、西宮北口駅には大きな歌劇ポスターが貼ってあったりして大好きだった。

後輩に婚約者を寝とられた美人OL、DV彼氏とずるずる別れられない女子大生、ロックな軍ヲタと地味な女子大生の初々しい恋愛、様々なシチュエーションが阪急今津線の15分の往復を通して重なっている。宮本信子のしゃんとしたおばあちゃまや南果歩が普通に徹したおばちゃん姿も印象的。

子どもながらいじめっ子に毅然とした態度で向き合った小学生と、彼女に声を掛けた傷心の美人OL(中谷美紀)との遣り取りに、いつしか涙がほろほろしてしまった。

とっても優しい映画でした。観てよかったなぁ。 
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英国王のスピーチ
英国の映画って大好きだ。ハリウッド映画は夢があり非現実性が魅力だし、英国映画はやはりリアリティがあり、映像に深みがあるのが素敵。

この映画は、大好きなコリン・ファースとキュートなヘレナ・ボナム=カーターが出るし、題材が内気なジョージ6世となれば待ちに待った内容だった。

コリン・ファースは繊細さを表現するのが上手な俳優だなあといつも感じる。
上辺だけのナイーブではなく、ちょっと厳めしいなかに潜む傷つき易さみたいなもの。
ジェフリー・ラッシュとの遣り取りも、しっくり自然で良い感じ。この辺が、英国映画のリアリティだと思う。必要以上の盛り上げとか「めでたし感」を演出しないのが、さっぱりしている。

”王冠を捨てた恋”のエピソードにしても、実情に沿って描かれているのも面白かった。
一般的には必要以上にロマンティックにもてはやされているけれど、事実はあんな感じだとよく耳にしていたしね。

地味な映画だけれど渋くて素敵です、是非、お勧め。 
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SEX AND THE CITY 2
あのテーマが流れるとわくわくしてしまう。たとえ、定石通りパート2が前作を超えられなかったとしても。

確かにストーリーが大味だし、それはないでしょう的無理なこじつけもあったり。にしても、4人共相変わらずパワフルだし、我儘だし、きらきらしている。何よりも正直である。
アメリカ人の方が、道徳的、倫理的に厳しいようだ。ネタばれになるから具体的には控えるが、私ならおそらくスルーだと思う。

彼女らに反感を持つか親近感を抱くかは、年齢や社会との関わり方によるところが大きいのでは。

性格のまったく違う4人が、それぞれ価値観を押し付けることなく、且つ悩みがあっても親友を巻き込み過ぎることなく、そしてそれ故に痛みを慮る思い遣りを持ち合わせていることが素敵だ。
親友に大切なのは、必要とあればいつでも縮めることが出来る適度な距離感を保つ心掛けだなぁ、などと様々思いを馳せたのだった。 
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ベンジャミン・バトン 数奇な人生
公開時に見そびれていた。大好きなフィッツジェラルドが原作だというのに、読んだ記憶もないし。

いつも思うのだが、ブラッド・ピットはハンサムだからこそ、こうした静的な役が似合う気がする。ケイト・ブランシェットは何を演じても素敵だから、別に構わないけれど。
ティルダ・スウィントンがかつてのヴァネッサ・レッドグルーブ的な貫禄を漂わせて意外。

老人として生まれて赤ちゃんになって死んでゆくベンジャミン。彼を愛するデイジーと、共に過ごせるごく限られた時間。

生きるってどういう事なのか、と答えの出ない問いを何度も自分に投げかけたくなるような映画だ。

この作品は、嫌な人間が登場しない。生まれたばかりの醜悪な我が子を捨てた父親でさえ。

シリアスでもあり寓話のようでもある作品だった。
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クヒオ大佐
香港からの復路で観た映画だ。

映画館には、わざわざ観に行かないだろうけど、凄く面白かった、というか可笑しかった。

米国空軍大佐を名乗る結婚詐欺師、自称クヒオ大佐に次々と騙される女性たち。主役のクヒオ大佐は堺雅人が怪しさ全開で、お弁当屋の女性社長、銀座のホステス、博物館の学芸員など次々にひっかかる女性たち。
誇張しているのは当然としても、あの経歴に騙されるか普通(笑)。でも、実在の人物がモデルだから実際、騙されているんだよね。

何が可笑しいって堺雅人の、とんちんかん振りに劣らず、女性社長の弟に詐欺を見抜かれ逆に強請られるところとか。
周囲を憚らず、げらげら笑って、気付いたら成田だった。
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