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苦手のビジネス書

私はビジネス書が苦手。というか嫌いだ。自己啓発みたいなものが嫌いなのだと思う。

向上心がないのかもしれないし、まったく知らないひとから指南されるのも信用ならない。

昔、カーネギーの「道は拓ける」とか、そんな類は読んだことがないわけでもない。

 

そうはいっても、基本的にひとりでやっている仕事だから、時と共にビジネスライクな心持が薄くなっていく。

ステークホルダとも気心が知れてくるし、仕事の段取りややり方も都度大きく変わるわけじゃない。

 

そろそろ新機軸を、と考えている今、色々な方にお会いする機会が増えてみて痛感するのは、私の頭がどうも

ビジネスじゃない、ってことだ。何というか、その辺のドメスティックなおばちゃん。

話ているうちに論点が迷子になるし、テンポのはやい方のお話の理解も迷子、ああ、もうこんなんじゃ全然

ダメじゃん、と落ち込んで仕方なくビジネス書の登場。

とにかく頭をビジネスモード、必要なものに出会った時にパッと手を出して掴める勘みたいなものを取り戻せる

為の基本を復習しようとしている。

 

本当にねー、のんびりモードになるとオツムもどんどんのんびりになるものだわー。

 

 

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細雪:谷崎潤一郎

『細雪』は昨年からずっと読み直したくて、kindle版にしようか、文庫にしようか迷いながらここまで来てしまった。

それが、夏休みのせいか美しい装幀の文庫本が並んでいるのを本屋さんで見付け、即座に3巻揃えて買ってしまった。装幀って大切ね。

因みに余談だが、私は表紙がマンガイラストの本はまず絶対に買わない。漫画は好き、でもマンガイラスト表紙の小説は大嫌い。過去の経験からマンガイラストの小説を読んで面白かったことは皆無なのもある。

 

さて久し振りに読む細雪。

大変に面白くてなんだか驚いた。もちろん、船場の上流社会と傾きつつある名家の滅びの美しさも味わい深く、さすが谷崎と思わせるわけだが、とにかく物語が面白い。

この四姉妹、それぞれが個性的で、姉妹をもつひとなら、鶴子 幸子 雪子 妙子の誰かしらに自分や姉妹を投影するのじゃなかろうか。

 

私が何より感心したのは、この姉妹の仲の良さだ。とにかく辛抱強い。大抵のことは胸に収めてしまう。

しんねり大人しい割に強情な雪子、自分勝手で素行のよろしくない妙子、彼女らに振り回される次女の幸子の親身なことといったら、読んでいて何度も溜息が出た。妹のために骨を折り、都度、裏切られるような目に合いつつ、結局は彼女たちの気性の美点を認めて力添えを惜しまない。ああ、私、こんないいお姉さんにはなれないわと思うのだ。お育ちのよさとはこういうものかも、とも。

 

細雪は映画も大好きで、1959年島耕二監督作品、1983年市川崑監督作品も観ている。

原作とは大分違うけれど、主役級の女優が4人も揃うわけだから、とても華やか。今回改めて読み直してみて、読む年齢で随分と印象も変わるし、感じ入る箇所も変わるもの、映画やTVをみて知っている気になるのではなく、実際に何度でも読み直し、自分のなかでかわってゆく印象を楽しむのも読書の喜びではないかと改めて感じた。

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ブルックリン:コルム・トビーン 栩木伸明 訳 

年頃の女性がひとりで生きる孤独と不安定を描く作品に惹かれるのは何故だろう。

例えば先頃、キルスティン・ダンスト監督ダコタ・ファニング主演で映画化が発表されたシルヴィア・プラスの『ベル ジャー』もそうだ。

 

私は不勉強なので〇〇文学独特の持ち味、みたいなものはよくわからない。

だからこのトビーンがジョイスやマクガバンの系統を引き継ぐ作風だと言われてもこそはさっぱり理解できないのだが、ただ、何処か頑なできっぱりとした芯があると感じる作品だった。

 

仕事を求め、周囲の厚意によってアメリカへ渡ったアイルランド娘の日々と、彼女に起きる年頃らしい出来事の数々がテーマになっている。淡々と描かれる日常にはさしたる大事件も悲劇も起こらない。恋愛も結婚も親元から離れていたら、案外こんな風に性急に進むものかもしれない。

ただ、その性急さを後で悔やみ落胆することになるのだが、そこからがもしかしたらこの作品の主題なのだろう。

責任と義務が感情や衝動に勝るのだということ。責任も義務も自由のなかから自身で選び取ったものだからだ。

そして彼女は義務と責任へ戻っていく。戻った先でこれからどんな人生が待っているのかにも興味がある。

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今年も登場!ケイ・スカーペッタ
あまり本も読みたくない日々を送っていたところ、ふと立ち寄った本屋さんで見つけたパトリシア・コーンウェルの検屍官スカーペッタシリーズの最新刊!迷わずレジへ。
ざくざく読み進めている。作品の出来不出来なんてあまり言いたくないの、とにかく好きだからね。

あぁ、来年2月の名古屋中日公演、難しいかなぁ 
えりたんのお披露目だし、お披露目だし、お披露目だし(大事なことなので3回言います)行きたいんだけどなぁ、嗚呼。案外、2月ってタイトで悲しい。
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星の王子さま : サン=テグジュペリ 河野万里子訳
評価:
サン=テグジュペリ
新潮社
¥ 500
(2006-03)
Amazonランキング: 1792位

ちいさい頃に読んではいるし、その後もおそらく読んでいるのだがあまり記憶になかった。
私にはきっと難しかったのだと思う。
この作品は”童話”のように思われている節があるけれど、敢えて言い切るなら絶対におとなでないと分からない。メルヘンではなく哲学に近い。

これがもう、感激したのなんの。
通勤途中などに読んだら、うっかり落涙すること間違いなしだ。
個人的にはバラときつねの件り。殊にきつねには号泣(笑)。
”大切なものは目には見えない”の言葉だけを抽出して語るのは本末転倒で、読み進むうちにじんわりとそれを感じずにいられない。当たり前なのに忘れていることを痛感するから。


因みにこの作品は、数年前に岩波書店の独占版権が切れて新訳がいくつも出ている。
好みはあるだろうと思う。
一人称「「ぼく」から「おれ」までいろいろで、思いの外やんちゃな王子さまもあれば、如何にもおっとりした王子さまもある。
そこはざっと目を通して、自分にしっくりくる訳を選ぶことが出来る。
昔、読んでわからなかった本が年を経て胸にすっと入ってきたときの喜びを是非、星の王子さまで。
って別に営業じゃありませんが。ふふふ。
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文芸あねもね : 彩瀬まる 豊島ミホ 蛭田亜紗子 三日月拓 南綾子 宮木あや子 山内マリコ 山本文緒 柚子麻子 吉川トリコ
評価:
彩瀬 まる,蛭田 亜紗子,三日月 拓,南 綾子,豊島 ミホ
新潮社
¥ 704
(2012-02-27)
Amazonランキング: 18330位

「震災復興チャリティ同人誌」という文庫のコシマキは天邪鬼の私には、あっちでもこっちでも震災チャリティだな、と正直、癇に障ったのは事実だ。善行は黙ってやれ、というのが持論なもので。

しかし、そんなこと関係なかった。
R-18文学賞由縁のこの作家10人の作品の面白かったこと!どの短編も力がある。
読み始めると、どんどん惹き込まれて面白くて止まらなくなる。
イタいひと、しょぼいひと、困ったひと、どの女性(主に主人公)も何処か愛しく思えるような部分がある。
どんな女性も持ち合わせている部分。理性があるひとは奥深くに押し込めている、逃げたいひとは見ないようにしている、だらしないひとはぐずぐずに流されているような”部分”がさらっと意地悪くなく描かれているのだ。
嗚呼、女性の文章が苦手な私なのに、この10人の文章はひとつも嫌じゃなかった。
それは、震災復興に本気で役立ちたいというマスラオな志が漲っているからだろうな。
見返りを求めない、大損は困るだろうけど、儲けなんて関係ない、全部毛布や橋の手すりになったらうれしい、と突き進むタオヤメのマスラオ。

チャリティだったのだと認識したのは読後だった。
知らずに読んでも清々しく、気持ちよく胸のなかがさわさわした本だった。
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火山に恋して−ロマンス : スーザン・ソンタグ 富山太佳夫訳
評価:
スーザン・ソンタグ
みすず書房
---
(2001-04)
Amazonランキング: 382879位

この”ロマンス”ってサブタイトルなのか?普通に小説という意味合いのロマンの複数形なのか、読後も気に掛かる謎だ。原題にはついていないし。

ソンタグといえば 『他者の苦痛へのまなざし』を既読であること、そして私の好きな写真家アニー・リーボヴィツのパートナーだったことくらいしか知らなかった。
大体、私は”運動家”とか”知識人”が苦手なのだ。

この作品は、彼女の著作のなかでも数少ない小説のひとつである。
舞台はナポリ、稀代の蒐集家であるカヴァリエーレことハミルトン卿、美しい2番目の妻エマ、そしてナポレオンを破った英雄ネルソン提督の三角関係の物語。
ほぼ全編にわたってカヴァリエーレの視点から物語は描かれている。
美しいものへの執着、蒐集家としての業、貴族社会の観察、世の中の流れ、そしてタイトルにもなっているヴェスヴィオ火山への憧れ。
恋愛関係は、これらの描写のひとつに過ぎず、どろどろした葛藤がほとんどないのも面白い。
カヴァリエーレは英雄を息子のように可愛がり崇めている、英雄もカヴァリエーレを尊敬している、ワケあり妻(カヴァリエーレの甥の恋人であったのを借金の肩代わりに伯父に譲られた)も老年の夫を心から尊敬している。それでいて繰り広げられる3人の関係だ。

最後にエマ、エマの母親などが出てきて”ぶっちゃけ”てしまうのも面白い。
およそ470ページほどの長い作品だが、とても読みやすく面白かったので、がさがさと嵩張らせながらも何処へでも持ち歩き、読むのが楽しい作品だった。

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さらば雑司ヶ谷 : 樋口 毅宏
評価:
樋口 毅宏
新潮社
¥ 515
(2012-01-28)
Amazonランキング: 6364位

生理的に苦手なバイオレンス作品なのに、この作家のものは”民宿雪国”に続いて2冊目だ。

処女作のせいか、粗いと感じる部分もところどころあるが、猛烈な勢いで読み切らせてしまうのは”民宿雪国”と同じ。最初から既にこうした全速力な持ち味をもっていたのか、と感心したり。
登場人物が皆あまりお利口でないのもいい。殊に主人公はバカじゃないかと思えるような、ばりばりのヤンキーだし、全員が極端に狭い世界と視野のなかで生きている。
でも、だから救いがあるのかもしれないなぁ。

雑司ヶ谷が恐い街といわれると、あののどかな下町が実はひどく恐いような気がしてくる。
次にジュンク堂へ本を買いにいっても寄り道はしないで帰ろう(嘘)。 
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陽暉楼 : 宮尾 登美子
評価:
宮尾 登美子
文藝春秋
¥ 650
(1998-03)
Amazonランキング: 289672位

自分でも意外なことに宮尾登美子は初めてだ。

高知の一流芸妓の物語。さすがに女性を描くことに定評のある作者だけに、飽きさせず一気に読了した。
幼いころ親に売られて修練を重ね売れっ子となった芸妓が、ふとしたことから恋をした銀行家の御曹司の子を産み、恋も叶わず死んでゆくというのはあまりにもステレオタイプなのだが、おそらくこの時代の芸者にはよくある話なのだと思う。

全体的な印象としては何かが物足りない。何処か過剰で何かが描かれ足りない。
外からは仔細に観察されよくよく語られているのだが、主人公房子の人物像がいまひとつ踏み込まれていないように思うのだ。
恋をすれば切ない、玄人の身のうえであれば尚のこと表立つことも出来ず苦しい、日陰の身とて子を授かれば母の強さも持つだろう、それは端から見ている人間が描くに容易なこと。
しかし何となく房子がどんな人間なのかをもっと内側から細やかに語られてもよいような気がする。
房子の純粋さも恋についてはただの浅はかに思えてならない。”女の意地”というにはあまりに安易な展開に感じられるのが残念だった。 
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貧困の僻地 : 曽野 綾子
評価:
曽野 綾子
新潮社
¥ 515
(2011-10-28)
Amazonランキング: 40825位

曽野綾子は世間の歓心を得ることにまったく興味がないので、その発言は物議を醸すことが多い。
おそらく著作を売ること、世論を敵に回すことについて頓着がないのだろう。だから批判を受けても釈明もしなければもちろん謝罪もしない。
私はその様子を常々潔いと感じてきた。

日本人が寄付や援助に対して非常に自己満足的で、より直截にいえば愚かな一面を持っていることを彼女はためらいなく指摘する。
寄付金を出した後、それがどのように使われるかについて日本人は無関心だ。自分の差しだすささやかな善意は自分が幸せを感じるための対価である域を出ない。作者はその点を鋭く突く。
出した援助(財団代表者として)がどのように使われているかを確認できないところには1円たりとも寄付をしないと言い切る。

この作品を読むと自分のなかの”貧困”のイメージとアフリカでの現実に大きな乖離があることに否応なく気付かされる。
日本で当然のように使われる「格差」や「不平等」が、もしかしたらただの贅沢な不平なのではないか、と胸に手を当てて考える機会を与えてくれたように思う。

 
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